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ウルグアイ東方共和国

Oriental Republic of Uruguay

世界が注目した「世界で最も貧しい大統領」

2009年11月にウルグアイ大統領選挙に当選し、2010年3月1日より2015年2月末までウルグアイの第40代大統領を務めたホセ・ムヒカ元大統領は、「世界で最も貧しい大統領」というニックネームで呼ばれ、国民に親しまれていました。

 

ムヒカ元大統領がどれだけ貧しかったかというと・・・・

・所得調査ではムヒカ家の財産は20万ドル

 家屋と2台のフォルクスワーゲンのビートル、3台のトラクターが含まれる

・大統領の給料1万2000ドルの90%を、ホームレスを救う慈善団体に寄付

・ウルグアイ人の平均収入と変わらない額で生活(約1000ドル)

・在職中も大統領公邸には住まず、首都モンテビデオ郊外の質素な農場に妻と住み、菊を栽培

・家には水道も通っていない為、井戸水を使用

・運転手付きの公用車に乗る代わりに中古のフォルクスワーゲンを愛車とする

・飛行機移動にはエコノミークラスを使う

 

ムヒカ元大統領は、こんな庶民的な生活をしていますが、自分では貧乏とは思っていません。

古代ギリシャ哲学者やアイマラ族の言葉から「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」と指摘します。

 

また、小国とは言え一国の大統領です。

その気になれば、高級マンションで暮らすことも可能です。

しかしムヒカ元大統領はそんな生活を望まず、国の指導者は国民の多数を占める庶民のような暮らしをするべきだとし、敢えてこの生活を実践しているのです。

ムヒカ元大統領は、裕福な人々そのものを嫌っているわけではありません。

国民の多数を占めるお金持ちではない人々の利益を決定する仕事に、裕福な人々が就いて上手くいくとは思っていないのです。

彼は金が好きだという人々を「政治的に危険な存在」だと述べ、政府に富裕者層を介入させないと言及しています。

 

彼ら(裕福な人々)は世界を、彼らの視点、つまりお金の視点から捉えます。

たとえ善意に基づいて取り組んでいるときでも、彼らの世界観、生活観、それに何かを決定する観点を提供するものは、お金です。

私たちの住む世界が多数派によって統治されなければならないとするなら、私たちは自らの視点の拠り所を、少数派ではなく多数派の視点に置くよう努力する必要があります。

 

ムヒカ元大統領の暮らしぶりは実に質素で、国民からも広く支持され、愛されていました。

「世界で最も貧しい大統領」は、政治家と庶民の間にある格差について言及し、庶民の味方であろうとした世界一暖かく、偉大な人物だったのです。

 

 

ウルグアイのような小国の大統領が世界中から注目を浴びるようになったのは、2012年に行われた環境問題を話し合う「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」のスピーチがきっかけでした。

ムヒカ元大統領は、この会議で以下のようなことを述べています。

 

今日の午後から、これまで議題となっていたことは持続可能な発展と世界の貧困を撲滅することでした。

我々が真に抱いている問題とは、一体何なのでしょうか?

現在の豊かな国々が辿ってきた発展と、その消費モデルを真似することでしょうか?

ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか?

呼吸をしていくための十分な酸素は残るでしょうか?

西洋の豊かな社会がおこなっている“傲慢な”消費を、世界の70~80億人もの人々がおこなうための資源は、この地球に存在するのでしょうか?

 

≪消費主義の社会に対し≫

根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです。

そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということ。

石器時代に戻れとは言っていません。

マーケットをまたコントロールしなければならないと言っているのです。

私の謙虚な考え方では、これは政治問題ですということ。

人類がこの消費社会にコントロールされているのです。

残酷な競争で成り立つ消費主義社会で『みんなの世界を良くしていこう』というような共存共栄な議論はできるのでしょうか?

 

≪望ましい世界について≫

私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。

幸せになるためにこの地球にやってきたのです。

発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。

発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。

愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。

これらをもたらすべきなのです。

幸福が私たちのもっとも大切なものだからです。

環境のために戦うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な要素であるということを覚えておかなくてはなりません。

 

列強諸国代表の当たり障りのないスピーチ内容に対し、彼は臆することなく経済の拡大を目指している現代社会に対して明確な警鐘をならし、本当の豊かさとは何かと言及する発言をしたのです

 

政治家になる為にお家柄や財力が必要になるのも、経済を中心に回っている現在の日本では致し方がないのも事実です。

ただ、上辺だけでなく、ちゃんと庶民の視点から物事を見る努力をした上で、発言してもらいたいと思うのです。

夫々の発言の説得力の差は、世界中で注目されることとなったムヒカ元大統領が証明してくれているのですから・・・

 

 

最後に、国民から親しまれ愛されたムヒカ元大統領の、ほのぼのとするエピソードを幾つかご紹介します。

 

ヒッチハイカーを乗せてしまう大統領

ウルグアイに住んでいるジェラルド・アコスタさんが、ファン L ラカセ近郊にある職場からの帰りにヒッチハイクしていた時のこと。

数台の車が通り過ぎた後、やっと1987年型フォルクスワーゲン・ビートルが止まってくれました。

車の中に入ると、車を運転していたのはなんとホセ・ムヒカ大統領だったのです。 

ジェラルドさんは、ほとんどの車が止まってくれなかったのに、大統領が自分を拾ってくれたことが信じられませんでした。

しかも道中、大統領とルシア夫人の写真まで撮らせてもらったそうです。

 

ホームレスとのやりとり

ホームレスの男性に小銭をめぐんでくれと言われたとき、「あいにく、今小銭は持ってないんだ。これで勘弁してくれ。」と100ペソ紙幣を渡しました。

感激のあまり、その男性が「永遠にウルグアイの大統領でいてくれ!」と叫んだそうです。

首都モンテビデオにあるテレビ局で生放送のインタビュー中の出来事

 

友人の為に約1億円のおいしい話も断る

彼の愛車である1987年製フォルクスワーゲン・タイプ1(2014年時点での価値:約32万円)をアラブの富豪から100万ドル(約1億1600万円)で買い取る事を打診された際、「友人たちから貰った物だから、売れば友人たちを傷つけることになる」と、これを拒否する発言をしています。

2014年11月14日ラジオ収録中の発言

(2016.1)

 

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